RoboMasterに使われている技術

RoboMaster(ロボマスター)に参加する学生エンジニアたちはロボット開発を通して、授業の枠を超えたエンジニアリングの知識や技術を実践的に学んでいます。

ロボットを開発するプロセスを経験することは世の中にある様々な製品を開発するプロセスと似通っている点も多く、自動車・航空機・宇宙機器・家電・玩具などあらゆる分野の製品開発はロボット開発に通じていると言っても過言ではありません。

しかし、「ロボットを開発する」というのはそう単純なものではなく、様々な分野の技術が積み重なっている、いわば総合格闘技のようなものです。ここではロボットを3つの要素に分けて、ひとつひとつの分野について紐解いてご紹介します。

RoboMasterに使われている技術

RoboMasterのロボットは大きく分けて3つの分野の技術で構成されています。「機械」「電子制御」「画像処理」の3分野です。

ロボットの構造は人間と同じように考えられる

「機械」「電子制御」「画像処理」はロボットにおいて別々の役割を担っており、それぞれを人間(ヒト)に当てはめると、下記のような対応関係になります。

ロボット人間(ヒト)
機械筋肉・骨
電子制御脳・神経
画像処理

例えば人間が「野球ボールを投げて的に当てる」といった動作をするときには、下記のような動作を行います。

RoboMasterに使われている技術

RoboMasterのロボットでも「球を射出して的に当てる」という動作をするときは、下記のような動作をします。

RoboMasterに使われている技術

私たち人間は無意識に「ボールを投げる」という動作を行っていますが、これをロボットにさせるには様々な分野の深く幅広い知識や経験が必要なのです。

RoboMasterに使われている技術

機械エンジニアの作業

機械分野を担当するエンジニアは特に『機械エンジニア』と呼ばれます。機械エンジニアはロボットのモーターで動かす機構やフレームなど、人間の筋肉や骨にあたる部分を開発します。

ロボットの機械部分を開発するには下のフローに沿って作業を進めることが多く、最初は何もない白紙の状態からスケッチを書きながらどんなロボットを作り上げるかを必死に考えます。RoboMasterではロボット同士がぶつかり合ったり段差から転落したりすることも多く、競技中に壊れない機械を作ることが使命となります。

  • 01仕様検討(システム設計、ラフスケッチ)
  • 02構造設計(3次元CADなど)
  • 03材料の加工(切断・穴あけ・旋盤・CNC切削・3Dプリント)
  • 04アセンブリ(加工された材料を組み合わせる)
  • 05機構の動作確認(可動部がスムーズに動くかを確認)

RoboMasterに参加する機械エンジニアは、学校で学んでいる材料力学・流体力学・熱力学・機械力学などの機械工学に関わる原理を応用して、ロボットの機構やフレームを作り上げます。

機械エンジニアはこんな人

RoboMasterに使われている技術

電子制御エンジニアの作業

電子制御分野を担当するエンジニアは特に『電子制御エンジニア』と呼ばれます。電子制御エンジニアはマイコンを使ったモーターの制御やセンサーによる計測など、人間の脳や神経にあたる部分を開発します。

ロボットの電子制御部分は下のフローに沿って開発が進められ、電気を流して動作する電子回路の設計・組み立て(はんだ付け)やロボットの脳となるマイコン(マイクロコントローラ)のプログラムの開発をすることでモーターを制御して、やっとロボットを動かせるようになります。

RoboMasterは競技時間が長くロボットへの振動や衝撃も強いため、競技中に誤作動や故障を起こさないよう、信頼性の高い電子回路やプログラムを開発する必要があります。

  • 01仕様検討(システム設計、試作)
  • 02回路設計(回路基板・配線の計画)
  • 03基板設計(プリント基板の設計)
  • 04アセンブリ(はんだ付け・配線)
  • 05プログラミング(マイコンによる制御)

RoboMasterに参加する電子制御エンジニアは、学校で学んでいる電子工学・電磁気学・制御工学・プログラミングなどの電子制御工学に関わる原理を応用して、ロボットに搭載する電子回路やプログラムを作り上げます。

電子制御エンジニアはこんな人

RoboMasterに使われている技術

画像処理エンジニアの作業

画像処理分野を担当するエンジニアは特に『画像処理エンジニア』と呼ばれます。画像処理エンジニアはカメラと小型PCを使った画像処理システムの開発を担当し、人間の目にあたる部分を開発します。

ロボットの画像処理システムは下のフローに沿って開発されることが多く、カメラから得られた画像情報をもとに小型PCで解析を行うことで、どこに狙うべき的があるのかを検出します。

RoboMasterではオペレーターが遠隔操縦でロボットを動かして相手ロボットへ向かって球を射出しますが、俊敏に動いている相手を正確に狙うには人間の操作だけでは難しく、画像処理システムによるオートエイム(自動照準)が機能することで球の命中率が格段に上がります。

  • 01仕様検討(検出対象を決める)
  • 02アルゴリズム設計(どのようにして対象を検出するか)
  • 03各要素のプログラミング(画像処理・数値計算などの要素ごとに実装・テストする)
  • 04通信テスト(ロボットの脳に情報を送るプログラムをつくる)
  • 05プログラムの統合(各要素をつなぎ合わせる)

RoboMasterに参加する画像処理エンジニアは、学校で学んでいる画像処理工学・ネットワーク工学・統計学・プログラミングなどの情報工学に関わる原理を応用して、ロボットに搭載する画像処理システムを作り上げます。

画像処理エンジニアはこんな人

RoboMasterに使われている技術

これらの「機械」「電子制御」「画像処理」の3つの分野のエンジニアが作り上げたものを組み合わせることではじめて『ロボット』が完成します。異なる分野のエンジニアが集まってひとつのロボットを作り上げる。RoboMasterに参加する若手エンジニアは、そんな難易度の高い取り組みに挑戦しているのです。

RoboMasterに使われている技術

RoboMasterの技術

RoboMasterを通して培われる技術は、世の中の様々な製品やサービスに応用されています。例えば、自動車も家電製品も玩具のような製品もロボットと同じように機械・電子制御・画像処理のそれぞれの分野のエンジニアが技術を結集することで新たな製品がどんどん作られています。

また、その技術はさらに応用・発展させていくことで、『超高齢化社会』『人手不足』『災害による被害』など日本の抱える様々な課題を将来的に解決したり、緩和したりする可能性を持っています。

  • 日本のRoboMasterの現状と課題 介護ロボット介護者の不足や介護疲れの緩和
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  • 日本のRoboMasterの現状と課題 安全運転サポート車交通事故の防止

参加する学生エンジニアたちは、実践を通して学んだ技術で、日本の未来にきっと貢献してくれるはずです。

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