What’s RoboMaster?
最新テクノロジーとエンターテイメントの融合!革新的な次世代ロボットコンテスト

RoboMaster(ロボマスター)とは、中国のドローン大手・DJIが主催する世界最大級の次世代ロボットコンテストです。
世界中から、ロボットの設計や開発を学ぶ学生エンジニアたちが参加し、チームで作り上げたロボットをフィールドで操縦して熱戦を繰り広げます。
ルールはロボット同士の球の射撃によるHPの削り合い。試合終了時に、基地ロボットの残りHPが多いチームが勝利となります。

出場するロボットには、機械・電子制御・画像処理などの分野の高度なテクノロジーが用いられており、戦術・戦略が求められる競技ルールによってeスポーツの様なゲーム性もあります。また、大規模な会場の照明や音響、熱のこもった実況・解説など臨場感あふれる演出で、誰もが楽しめるエンターテインメント性の高さも魅力です。


若手エンジニアの人材育成が大きなテーマになっており、この大会を通して「イノベーションを創出する次世代の人材を育成すること」が最大の目的です。
RoboMasterの目的や意義については、別ページにより詳しくまとめています。下記のボタンからご覧いただけます。
RoboMasterの特徴
リアルなロボットでFPS?!eスポーツ要素を取り入れた白熱の試合

特徴的なのは、ロボットの操作方法。
ロボットを操縦するオペレータールームは、フィールドから少し離れたところに設置されています。ロボットのオペレーターは操縦時に、ロボットやフィールドを直接見ることができません。ロボットに取り付けたカメラから送信されるロボット目線の映像をPCで見ながら、マウスやキーボード、リモートコントローラーなどを使って操縦します。


RoboMasterはリアルなロボットを使ったFPS ( ファーストパーソン・シューティング ) ゲームです。
フィールド全体を見られない分、オペレータールーム内での仲間とのコミュニケーションが重要です。PC画面の情報を臨機応変に上手く伝えることや、事前にさまざまな状況を想定して戦略を組み立てておくことが試合の勝敗に大きく関わってきます。
全7種類のロボットをチームで開発!
RoboMasterは、開発するロボットの種類の多さも大きな特徴です。
このように、ロボットの種類ごとに試合中の役割が異なります。ロボット開発に必要な技術はこちらで詳しく紹介しています。
競技の公平性を司る自動レフェリー『ジャッジシステム』
RoboMasterでは、試合中の審判をジャッジシステム という独自の自動システムで行っています。このシステムは、判定の公平性や競技の安全性を保ち、大会の根幹を支える大きな役割を果たしています。

試合に出場するロボットには、大会指定のジャッジシステムのモジュールがいくつも搭載され、そこからサーバーに転送されるデータによって、ステータスやダメージ、ペナルティの判定などが瞬時に行われます。(※上の画像では見えない底面や内部にも搭載されています。)
ロボットが危険な状態になった時には、自動的に動作を停止する安全装置としての役割もあります。

試合中にオペレーターが見るPC画面の情報や、配信中の画面に表示される各ロボットのHPなどの情報も、全てリアルタイムでジャッジシステムから転送されているため、RoboMasterという大会には無くてはならない重要なシステムです。
試合の見どころ
スピーディーな球補給&受け渡し


試合開始時の見どころは、エンジニアロボットが球を補給してヒーローロボットへ球の受け渡す動作です。先制攻撃して試合を有利に進められるかどうかは、ここの動きにかかっていると言ってもいいでしょう。
球を補給し、受け渡す機構は、各チームの個性や工夫がみられる箇所なので要注目です。
ボーナスパネルへのチャレンジ


ボーナスパネル(パワールーン)は、特定のミッションをクリアすると、一定時間チーム全体の攻撃力がアップするボーナスが与えられる装置です。
ミッションをクリアするためには、遠距離からボーナスパネルを狙い打つ必要があるので、高精度な画像認識や自動照準の技術が求められます。攻撃力の上昇したロボットたちが、一気に敵陣に攻め込む様子は圧巻です。
基地を守る最後の砦。哨兵ロボット


哨兵ロボットは出場するロボットの中で唯一の全自動制御ロボット。基地前のレール上に配置されます。哨兵ロボットが撃破されると基地のバリアが解除され、大ダメージを受けやすくなってしまいます。
そのため、哨兵ロボットは最後の砦として、相手の攻撃を回避しながら、画像処理や自動照準などの技術を駆使して相手を迎え撃ちます。哨兵ロボット周辺での激しい攻防戦は必見です!
空中から狙い打つドローン


ドローンの役割は多岐に渡ります。空中からフィールドを俯瞰し、チームに全体の戦況を伝える役割もあれば17mm球を射出し、相手ロボットにダメージを与えることもできます。
2019年の東北大学(トンペイ大学)は、ボーナスパネルで攻撃力を上げたドローンで基地を直接狙い、全てのHPを削り切る荒業で世界一の座を勝ち取りました。ドローンをどのように使うかはチームによって特徴があるので要注目です。
試合の影の立役者。ピットクルー


試合中は華やかなオペレーターがクローズアップされますが、ピットクルーもとても重要なポジションです。彼らは、試合と試合の合間にロボットの動作の確認やダメージを受けた箇所の整備を行います。
わずか3分間で、ロボットの動きや不調箇所を確認し、的確に整備する彼らがいなければオペレーターがどんなに優秀でも、ロボットが性能をフルに発揮することができません。
RoboMasterの競技概要
基本ルール
試合では、相手の基地のHPをより多く削ったチームが勝利となります。基地のHPは装甲モジュールに球を当てられることで削られます。ロボットの種類ごとに撃てる球の大きさは異なり、与えられるダメージも異なります。(17㎜球:10ダメージ 42mm球:100ダメージ)
ルールを説明した動画がありますので、こちらをご覧ください。(※2019年版)
フィールド

空中ロボット安全ロープ | 空中ロボット(ドローン)を固定するためのロープとフックから成る設備。 |
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補給ゾーン | ロボットが球を補給するための場所 |
台形高台 | 補給ゾーン付近に位置する高台。射出冷却バフの効果が得られる。 |
ダイヤモンド高台 | ランディングパッド付近に位置する高台。射出冷却バフの効果が得られる。 |
ボーナスパネル起動ポイント | ボーナスパネルへの球の射出を行うための場所。 |
アウトポスト | 2000のHPを持つオブジェクト。撃破されると哨兵の防御力バフと基地の無敵状態が解除される。 |
ロードゾーン | 片側は台形高台と、反対側はダイヤモンド高台と接する場所に位置する通路。 |
環状高台 | 資源島周囲に位置する高台。射出冷却バフの効果が得られる。 |
哨兵レール | 哨兵ロボットが移動することができるレール。 |
レーダーベース | チームが準備するレーダーを設置する場所。 |
ダーツ発射ステーション | チームが準備するダーツシステムを設置する場所。 |
スタートゾーン | チームが準備するロボットをスタート前に設置する場所。 |
資源島 | 環状高台に隣接する、球が入ったコンテナが3つ設置される場所。 |
ミニ資源島 | 42mm球を補給できる場所 |
ランディングパッド | チームが準備する空中ロボット(ドローン)をスタート前に設置する場所。 |
競技ルールは毎年変更
RoboMasterは、毎年ルールが修正され、競技者としても観戦者としてより楽しめるように改善されています。RoboMaster2020では、新規のロボットが2台追加されるなど大きなルール変更がありました。
より詳細なルールを知りたい方は、ルールブックの最新版をお読みください。
世界中に拡大するRoboMasterの熱狂

RoboMasterは2015年に始まり、初回から累計で400以上の大学・30,000人以上の学生たちが参加しました。
特に主催のDJIが拠点を置く中国・深センでの人気は凄まじく、決勝トーナメントでは数千人収容のスタジアムが観戦客で満員になるほどの盛り上がりでした。

また、大会期間中は世界各国に向けて、中国語・英語・日本語でライブ配信を行います。2019年、この配信は15か国195万人以上が視聴しました。
下のグラフの通り、年々参加国も配信視聴者も増えており、世界的にも注目が集まっていることがうかがえます。


RoboMaster2019では、日本語解説付きで配信が行われました。アーカイブが残っていますので、ご興味ある方はコチラからご視聴ください。
世界中から注目を集めているRoboMasterですが、日本からの参加はこれまで1チームのみと少なく、まだ広く認知されていないのが現状です。しかし、ロボット工学を学ぶ若手エンジニアたちから着実に注目を集めており、2019年には国内チームが一気に日本各地に立ち上がりました。
別記事で日本国内におけるRoboMasterについてまとめていますので、ご興味ある方は下記リンクからお読みください。